猫のしっぽの状態や動きには、様々な役割や情報がつまっています。 嬉しい!いら立っている…などの感情表現や、ひょいひょいと不安定な場所を飛び回るのにしっぽは大活躍です。
また、長いしっぽやかぎしっぽなど形もいろいろありますよね。
この記事では、猫のしっぽの機能やしっぽから読み取る心理を解説しています。
この記事を読めば、愛猫のしっぽの動きを読み解くのが楽しくなるので、ぜひ読んでみてください。
そもそも猫のしっぽの機能とは?
そもそもネコちゃんのしっぽにはたくさんの役割があります。
まずは、『バランスを保つ』ためです。
どんなに狭い場所でも、どんなに複雑な足場でも、ネコちゃんならスイスイっと歩きますよね。
これは、耳の中の内耳という平衡感覚をつかさどる器官とあわせて、しっぽを使ってバランスをとっているからと言われています。
「そんな場所も飛び乗れるの!?」ということができるのも、しっぽの役割がとても大きいからです。
猫のしっぽの役割の2つ目としては、『マーキング』の意味があります。
しっぽにある臭腺をこすりつけることで、「ここが僕の陣地だよ!」と、テリトリーの主張を行っています。
額や肉球などにも臭腺はありますが、自由自在に動くしっぽを使ってマーキングをすることも多いです。
そして、猫のしっぽは『感情表現』としての機能もあります。 猫を飼っている方なら、しっぽで得られる情報が多いことはお分かりだと思います。
以下で、しっぽの動きから読み取れる感情を5つに分けて解説していきます。
とその前に、猫のしっぽの種類についていくつか紹介いたします。
いろいろある!猫のしっぽの種類
ネコちゃんのしっぽには長いもの、短いもの、かぎしっぽ(途中で曲がっていたり、短くくるっと丸まっているしっぽ)など様々ありますよね。
日本の猫においては、しっぽが短い子・かぎしっぽの子が多い傾向にあります。
というのも、その理由は江戸時代にまでさかのぼります。
江戸時代には、長いしっぽの猫が年をとると『猫又(ねこまた)』という妖怪になると考えられており、短いしっぽやかぎしっぽが好まれていました。
また、かぎしっぽは古くから幸運を招く猫として大切に育てられていました。
そのため、そういった猫が繁殖され、現在に至ったと考えられています。
しっぽの動きから読み取れる5つの感情
しっぽはネコちゃんの様々な感情を表しています。 理解することで、もっと愛猫のことを知ることができます!
①ピーンと垂直にたっているとき
ネコちゃんのしっぽがピーンとまっすぐになっているときは、すり寄ってくるときなどによく見られます。
嬉しいとき、甘えているとき、えさを欲しがっているときなどにもみられ、愛情表現と考えられています。
この仕草は、もともとは子猫が母猫に近づく際にするものです。
子猫は生まれたての頃、母猫におしりを舐めてもらって排せつを促されます。
そのときにしっぽを立てることを覚えて、それが名残となっています。
また、母猫と一緒に狩りに出かけるときに、ピンと立てたしっぽで自分の存在を分かってもらっていたというのもあります。
②ぶわっと膨らんでいるとき
タヌキのしっぽのように、ぶわっと大きく毛が逆立っているときは、威嚇している証拠です。
通常サイズの2,3倍も大きくなっていることもしばしば。 この理由としては、興奮をすると交感神経が活発となり、アドレナリンが放出されるからです。
アドレナリンによって立毛筋が収縮して、しっぽの毛が逆立つようになります。
これは、人の鳥肌が立つメカニズムと同じです。
よく見ると、全身の毛も逆立っているのが特徴です。
自分を大きく見せようとして、攻撃態勢にあることが分かります。
③バチバチ下にたたきつけているとき
寝ているときによく見られますが、しっぽを床にたたきつけているときは、イライラしている証拠です。
不満やいら立った気持ちを発散させているのでしょうね。
この状態のときに手を出すと、攻撃されること間違いなしです。
遠くから見て、放っておくようにしましょう。
④しっぽがおなかの下に入るとき
これはワンちゃんでもよく見られる仕草ですよね。
何か怖いことがあったり、負けを認めたときには、体を丸めてしっぽを股の間にかくします。
自分を小さく見せたい…もう負けました…というサインです。
あわせて、肛門にふたをして、自分のにおいを出さないようにしているとも言われています。
動物病院での診察や入院の際にもよくみられる仕草です。
⑤寝ているときに数回しっぽを動かす
寝ているときに「○○ちゃ~ん」と名前を呼ぶと、パタパタと数回だけしっぽを動かしますよね。
これは、起きるのは面倒だけど、しっかり聞こえてますよアピールです。
そんなときには、ゆっくり寝かせてあげましょう。
しっぽは体調の変化も読み取れる!
猫のしっぽは気分を読み取れるだけでなく、体調の変化もみることができます。
例えば体調が悪いときには、しっぽは下にだら~んと下がっています。
また、しっぽが全く動かないときは、神経の異常(馬尾症候群など;ばびしょうこうぐん)も考えられます。
馬尾症候群とは、馬尾神経という細い神経が束になった部分が障害を受けた状態で、慢性的に進行する病気です。
馬尾症候群においては、しっぽが動かないことと同時に、排せつ障害や高いところに上らなくなるといった症状が見られる場合もあります。
猫のしっぽは血圧を測る際にも使用されます。
そういった意味でも、体の不調をしっぽから読み取ることができます。
【まとめ】猫のしっぽの機能や、 しっぽから読み取る猫の心理
猫にとってのしっぽは、バランスをとったり、嬉しさやいら立ち等の感情表現をしたりと様々な機能があります。
コミュニケーションツールとして大いに役立つしっぽをよく観察し、愛猫のご機嫌を損なわないように(?)共同生活を楽しみましょう!
参考資料
- 辻本元,小山秀一,大草潔,中村篤史,猫の治療ガイド2020、EDUWARD Press