『イカ耳』という言葉を聞いたことはありますか? ネコちゃんを飼っている方なら、一度は聞いたことがある単語かもしれません。 ネコちゃんはこの『イカ耳』になることがしばしばあります。 この記事では、ネコちゃんが『イカ耳』になる理由や猫の聴覚など『猫の耳』についてお伝えしています。 耳の動きを観察し、もっと愛猫の気持ちや生態を理解したい!という飼い主さんは、ぜひ読んでみてくださいね。
猫のイカ耳ってなに?
『イカ耳』 とは、ネコちゃんの耳の状態を指す言葉で、耳を少し後ろに引いた様子のことです。 イカのひれに似ていることからそう呼ばれます。 このイカ耳ですが、イライラしたときや威嚇をしているとき、何かに集中しているときなどに見られます。 猫がイライラしたときや怒っているときには、- 口を大きく開けて上下の犬歯を見せる
- 「シャーッ」「ハーッ」と鳴く
- 目を大きく見開く
- ひげがピンと張る
- 全身の被毛が逆立つ
- 体を丸くさせる
猫の耳は感情を示すことができる
ネコちゃんは、しっぽや体勢のみならず、耳の動きでも感情を表現しています。 例えば、喜んでいるときの耳はピンっとしっかり立っており、リラックスしているときや甘えているときには外側に向きます。 リラックスしている状態のときは、耳は前を向いていますし、ペタッと伏せているときは強い恐怖を感じているときに見られます。 平常心のときは、力が入らずまっすぐ前を向いた状態です。
猫の耳はよく動く~正確な位置を把握する
ネコちゃんの耳は、左右前後によく動きますよね。 片方の耳だけ別の方向を向いていることもよくあり、音のする方向にくるっと耳が回転しています。 これは、耳を動かすことで、瞬時に音源までの距離を把握し、獲物の位置や身におよぶ危険などを認識しているのです。 猫が耳を自由自在に動かすことができるのは、根元にある約30本もの筋肉のおかげです。 人の耳の筋肉の約5倍もあると言われており、その筋肉によって、耳介を270°あまり回転させることができます。 また、猫の耳は聴神経(内耳より聴覚を脳に伝える感覚神経)が多いことも特徴です。 人の約3万本に対して、猫は約4万本もあります。 耳を自由に動かせることと聴神経の多さにより、猫は人が聞き取れないようなわずかな音を聞き取り、位置を正確に把握することができるのですね。猫の耳はバランス感覚にも関係
高いところからピョーンと飛び降りても、しっかり着地し、そのままスタスタ歩く…ネコちゃんの平衡感覚は優れていますよね。 この理由は、ネコちゃんの耳の奥にある『三半規管』という器官が関係しています。 この三半規管は平衡感覚をつかさどり、頭が回転するときの方向と速さを感知する役割があります。 マンションの高層階から間違って飛び降りてしまったネコちゃんが無傷だったという報告はしばしば聞くかもしれませんが、これは三半規管のおかげでもあるのです。 (もちろん、そういうことがないように気をつけなければいけませんね。) また、人やワンちゃんでは、乗り物酔いをする子がしばしば見られます。 一方で、ネコちゃんにおいてはほとんど見られません。 これも、発達した三半規管をもつためと言われています。猫は優れた聴覚を持つ
ネコちゃんは、人が聞き取れない音を聞き取ることができます。 超音波(2万ヘルツ以上)まで聞き取ることができる、驚異的な可聴域を持ちます。 小動物や虫が出す鳴き声も超音波であることが多く、人には聞き取れませんが、ネコちゃんは聞き取っているのです。 また、猫は人の約3倍の音域を聞き取ることが可能です(猫;約64,000ヘルツ、人;約23,000ヘルツ)。 特に、生後3週齢の子猫は成猫の約2倍近くの100,000ヘルツの音を、出産後から授乳期の母猫は80,000ヘルツの音を聞き取ると言われています。 これは子猫と母猫が意思を伝えあうために、可聴域が広くなるためです。 子猫がひとり立ちすると、お互いに本来の64,000ヘルツ程度になります。 ネコちゃんの耳の先端には、1~5mm程度の耳飾りのような毛があります。 これは単なる飾りではなく『房毛』と呼ばれ、超音波を集めるのに役立っていると言われています。猫の耳にはどんな形がある?
ネコちゃんの耳は、個体によってさまざまな形があります。 『立ち耳」 は、よくネコちゃんで見られるまっすぐ三角形に立った耳です。 『垂れ耳(折れ耳)』はスコティッシュフォールドのような猫で見られ、通気性が悪く、軟骨の形成異常の場合もあります。 アメリカンカールでは耳介が反り返った『反り耳』が見られ、かわいらしい見た目となります。猫の耳のお手入れの方法
ネコちゃんの耳は、ワンちゃんに比べると常に清潔であることが多いので、特にお手入れがいらない場合が多いです。 ただ、なにかしらの感染症(細菌や耳ダニなど)にかかっていたり、垂れ耳の子においては、汚れがついてしまうこともあります。 その場合には、ぬるま湯やイヤークリーナーで浸したコットンなどでふき取り、清潔にしてあげましょう。 綿棒は耳を傷つけてしまう可能性もあるので、使用しない方がいいですね。
【まとめ】猫がするイカ耳は恐怖のしるし~耳について詳しくなろう
ネコちゃんは耳の筋肉が発達しており、音や感情に際して、いろいろな方向に向けることができます。 猫の感情表現のひとつである『イカ耳』は、イライラしたときや威嚇をしているときに見られます。 コミュニケーションツールとして、また健康の観察もできる耳について、日ごろからお手入れをしてよく観察してあげましょう! 参考資料- 今泉忠明,猫脳がわかる!,文春新書,2019,p58-p65