「あれ??どこ行ったかな??」 と思ったら、タンスの上から見下ろしている… ネコちゃんを飼っている方なら、いくどか経験があると思います。
猫はタンスや冷蔵庫の上、キャットタワーやキャットウォークといった高いところが大好きです。
なぜネコちゃんが高いところが大好きなのか?
それには理由があります。 以下で解説するとともに、猫が快適に過ごせる室内づくりについてもお伝えしたします。
猫が高いところを好む3つの理由
猫が高いところを好むのには3つの理由があります。
①外敵から身を守るため
猫はそもそも、樹洞(じゅどう;樹木にできた洞窟状の空間)や岩の穴に住んでいた動物です。
高くて薄暗い場所に身をひそめることで、外敵から身を守っていたのです。 また、上から見下ろすことで、ネズミや昆虫などの獲物を見つけやすいからといった理由もあります。
現代のネコちゃんが高い場所で過ごすのも、そのなごりなのですね。
②テリトリーのパトロールのため
猫はテリトリーを持つ動物です。 家は猫にとってのテリトリーそのものなので、「異変はないか?」を確認する必要があります。
その際に、高いところから部屋全体を見渡すことで、テリトリーが安全なのかをパトロールしているのです。
また、猫は他の猫より高い場所にいることで、自分の方が優位であると相手に伝えているとも言われています。
相手に自分を強く見せることがまた、テリトリーの維持にもつながるのですね。
③心地よい室温であるため
猫は暑すぎず、寒すぎない場所が大好きです。
(猫にとっての快適な室温は、25~28℃程度といわれていますが、30℃を超えても平気なことは多いです。)
夏は冷気の効いた床から離れるように、冬は暖かい空気がこもる高い場所を心地よく感じ、高い場所に身を置いているのですね。
危険!降りられなくなることもある
猫は上るのは得意ですが、降りるのは苦手。
人のようにおしりから降りて行くということはできず、ジャンプをして降りるしかありません。
あまり高くない場所ならぴょんぴょんとジャンプしながら降りますが、どんどんと高いところに上ってしまうと降りられない…といったことも。
これは家の中でも生じます。
愛猫の異変を感じたら、優しく抱っこして降ろしてあげてくださいね。
子猫やシニア猫、関節の弱い子では注意
子猫やシニア猫ではより注意が必要です。
筋力が弱いため、思いもよらぬ状態で落ちてしまったり、受け身がうまくできなかったり…
そのため、子猫やシニア猫がいるご家庭では、あまり高いところに行かないように家具の配置を見直す必要があります。
また、スコティッシュフォールドやマンチカンなど関節が弱い猫種、運動量が少なくてよいように改良されたペルシャなどの猫種も、上下運動(運動そのもの)が苦手なので注意しましょう。
高所落下症候群(キャットフライングシンドローム、ハイライズシンドローム)
本来であれば、高くまで上ったネコちゃんは恐怖のあまり固まってしまう…ということがほとんどですが、中にはある程度の高さから飛び降りてしまうといったこともあります。
高所落下症候群(キャットフライングシンドローム、ハイライズシンドローム)と言い、マンションやおうちの2階から飛び降りてしまう…という病気です。
「高さが分からないから…」「鳥や虫が見えたから…」など、飛び降りる理由は諸説あるようですが、原因は分かっていません。
室内でのみ過ごしているネコちゃんは、体の動きがにぶかったり太っていたりということで、落下した場合にうまく受け身の姿勢がとれないことがあります。
そういった謎の特性を考慮し、「猫は高いところから落ちても大丈夫!」という認識は改め、家具の配置の確認はもちろん、窓を開けっぱなしにしないように十分に注意をしましょう。
キャットタワーやキャットウォークで部屋全体を見渡せるように
お伝えした通り、高い場所を好む猫は多いため、キャットタワーやキャットウォークを愛猫の運動範囲にあわせて配置してみましょう。
また、そこがくつろぎスペースになるように工夫してあげることも重要です。
窓の外の世界は、猫にとっては人のテレビにあたるとも言われているので、高い場所から外が見られるとよりお気に入りスペースとなります。
ただし、夏場は熱中症にならないように、外にすだれやサンシェードを設けてあげるといいでしょう。
また、くつろぎスペースは高すぎない位置に設置することも大切です。 猫が体調不良になり、その場で動けなくなってしまっても救出ができ、万が一転落しても猫に危険が及ばないようにする必要があるからです。
掃除がまめにできる高さにするというのも大切なポイントです。
【まとめ】猫にとって高い場所はリラックススペース
猫にとっての高い場所は、外敵から身を隠せて、かつ家全体をパトロールできる重要な空間です。
窓の外が見えたり、お気に入りのブランケットを置いてあげることで、より安心してくつろぐことができるでしょう。
ただし、子猫やシニア猫、関節が弱い子などは、高い場所が危険となることもあります。
日頃から愛猫の動きを観察し、危険性はないか?をしっかり確認するようにしましょう!
参考
- いしまるあきこ,猫と住まいの解剖図鑑,エクスナレッジ,2021