ネコちゃん同士は仲良しでもけんかをすることがあります。 「ペロペロなめあっているな~」と思ったら、背中を丸めてにらみ合いっこ!なんて状況を目撃した飼い主さんも多いと思います。 でも、なぜネコちゃんはけんかをするのでしょうか? その理由とけんかをなくす対策をお伝えいたします。 多頭飼いの飼い主さんは、ぜひチェックしてみてくださいね。
猫がけんかをする理由とは?
猫同士がけんかするのには、いくつかの理由があります。単純にじゃれ合っている
仲がよい猫同士の場合には、単純にじゃれ合いの延長でけんかとなってしまうことがあります。 いつも仲良く過ごす子たちがけんかをしている場合には、なにかちょっとだけ気に食わないことがあったのかもしれませんね。なわばりの争い
猫は単独生活をする動物ですので、自分のテリトリー内に他の猫や動物が入ってくるとストレスに感じる場合があります。 外猫における行動範囲は、メス猫で50m四方、つまり2500㎡の範囲を、発情期のオス猫では14500㎡程度にもなります。 この範囲内は自分のテリトリーとして毎日見回りをし、不審な動きがあると、なわばり争いに発展することがあります。 また、室内飼いの場合には、行動範囲は極端に狭くなります。 日本人の住まいの平均延べ面積は100㎡程度なので、多頭飼いの場合には、少し窮屈となってトラブルが生じやすくなります。 猫同士の順位についてですが、多頭飼いの場合には、先住猫のほうが優位にあります。 そのため、新しい猫を迎えた場合にはけんかをすることもありますが、相手が子猫やシニア猫など明らかに自分より弱い立場の場合には、無駄な争いはしないことが多いです。メス猫をめぐる争い
発情期のメスを取り合うときには、それはものすごいけんかとなります。 寝静まった夜に、とても大きな声で鳴く外猫たちは、おおよそメス猫をめぐっての争いをしています。 猫の発情は、春先から夏にかけてあり、1年を通して2,3回程度あります。 メス猫が発情することで、オス猫がその声やフェロモンに反応します。 去勢をしていない猫は、鳴き合い、場合によってはけんかをして、メス猫を自分のものにしようとします。猫同士のけんか、どんな猫が優勢?
猫のけんかにおいては、体が大きい個体の方が優勢である傾向があります。 体が小さい個体は、自ら勝ち目がないと判断して、身を引くことが多いです。 戦闘態勢になると、まずは大きな声で「シャーシャー」「フーフー」と鳴き、牙をむいた表情や態度だけで決着をつけようとします。 鳴き声やにらみあいで迫力負けした方が姿勢を低くして降参ポーズをし、身を引いて終了となります。 けんかによってケガをすると、お互い生きて行くことが大変になるため、無駄な戦いは避けようとしているのですね。 ただし、どちらもひかなければ取っ組み合いのけんかとなってしまいます。 明らかにどちらかの猫が降参した場合には、以降は追いかけたりせず、そこでけんかは終了となります。 一度優劣が決まると同じ猫同士でけんかになることはありません。顔に傷があるなら正面から戦った証拠!
けんかのあとに、どこに傷があるかでどんな戦い方だったか?どんな性格の猫なのか?などが分かります。 顔に傷がある場合には、真正面から戦いに挑んだということで、強気の性格の子の可能性があります。 一方で、おしり周りに傷がある場合には、逃げるタイミングでケガをさせられたということで、やや控えめな性格の子、もしくは相手が強すぎたのだと思われます。
けんかで傷を負ったのなら治療を!
猫同士のけんかにおいては、わずかな傷であっても化膿することがあるため、動物病院への受診をおすすめします。 また、唾液からうつる感染症もあるために、しっかりとケアをしてあげましょう。 獣医師やトリマーも、猫にかまれると手がパンパンに腫れてしまうことが多いです。 『猫の口には雑菌がたくさんいる!』と言うことを覚えておきましょう。猫同士のけんかをやめさせる方法
仲がよい猫同士のけんかは、放っておくことでおさまります。 追いかけっこやじゃれ合いの結果、けんかになってしまうこともありますが、自然とおさまることがほとんどです。 猫同士のけんかはストレスの発散になることもあるので、仲良し同士のけんかはそっと様子をみてあげましょう。 一方で、あまり仲のよくない猫同士のけんかは、仲裁に入った方がいい場合もあります。 直接止めに入ると、飼い主さんがけがをしてしまうこともあるので、物音を立てたり、段ボールなどを介して止めるようにするといいです。 おやつや食事で気を引いてもいいでしょう。 猫同士のけんかが頻繁にある場合には、部屋の構造や安心できるスペースの確保ができているのか?いま一度確認してみましょう。 どうしても気が合わない場合には、別部屋での飼育も方法の一つです。 また、去勢をしていない場合には、手術を受けることで闘争心が低下する傾向にあります。猫の多頭飼いは3頭まで
基本的には1頭での飼育をおすすめしますが、多頭飼いをする場合には3頭までにするようにしましょう。 というのも、猫の数が3匹以上になると、とたんにトラブルの頻度が増えると言われているからです。 2匹においては力関係が分かりやすく、一度優劣がつくとそれ以上のけんかにはならない傾向にあります。 それが3匹以上になると、1匹のボス猫、そのほか大勢の普通の猫、そして最下位の1匹に分かれ、立場の弱い猫がうまれた結果トラブルが増加してしまいます。
【まとめ】猫がけんかをする理由とやめさせる方法
多頭飼いのおうちでは、猫同士のけんかが発生することがあります。 単純にじゃれ合っている場合もありますが、ストレスを抱えた猫が生じている可能性もあります。 けんかが発生している際には、毎回同じ猫がいじめられていないかをしっかりチェックするようにしましょう。 また、お互いのプライベートスペースを用意してあげ、ゆったりと過ごせる環境を作ってあげましょう! 参考資料- 今泉忠明,猫脳がわかる!,文春新書,2019
- いしまるあきこ,猫と住まいの解剖図鑑,X-Knowledge,2020