青い色や茶色など、猫の目には様々な色がありますよね。
この目の色ですが、一体どんな色があり、どうやって決まっているのでしょうか?
注意するべき目の色についてもお伝えしているので、愛猫の目の色について、いま一度よく観察してみてくださいね。
猫の目の色の種類
一般的に、洋猫は青や緑色、和猫は茶色や黄色い瞳の子が多い傾向にあります。
子猫のうちは『キトンブルー』と言われ、青っぽい目をしている子が多くいます。
これは、虹彩にメラニン色素が沈着していないためで、成長に合わせて徐々に変化し、生後6~8か月ごろには本来の色へと定着します。
猫の目の色は、メラニン色素が少ない順に、
- サファイアブルー:濃い青、ラグドールやシャムネコが代表
- ブルー:サファイアブルーよりも薄い水色
- アクア:ブルーよりも薄い色
- グリーン:ロシアンブルーが代表
- ヘーゼル:グリーンからブラウンのグラデーション
- イエロー:日本猫の多い色、黄色
- ゴールド:黄色系の単一色、バーミーズが代表
- オレンジ:カッパーとゴールドの中間色
- アンバー:琥珀色
- カッパー:メラニン色素が一番多い色、銅色で日本猫に多い色
と10種類に分類されます。
左右の目の色が異なる『オッドアイ』の子もいて、その美しさから幸運を呼ぶ猫として人気があります。
片方がブルー、もう片方がゴールドからカッパーの目をしています。
特に白猫によく見られる先天性の色素異常ですが、事故や緑内障などの病気に続発して生じることもあるため、成猫になってからオッドアイになった場合には注意が必要です。
また、赤目の猫もおり、これは『アルビノ』と呼ばれるメラニン色素を持たない突然変異種にみられます。
黒い色素がないために、眼球の奥の血管が透けて見えることで赤く見えます。 なお、目の色(メラニン色素の量)は遺伝によって決まっています。
日光の少ない地域を原産とする猫は色素が少ない薄い目の色となり、日差しが強く温暖な地方の猫は濃い目の色となったのでは?と言われています。
猫の視力はどれくらい?暗闇でも物が見えるのは?
猫の視力は、人間にすると0.04~0.3ほどしかありません。
静止しているものはあまりよく見えず、人なら強度の近視状態です。
ただし、動いているものを認識する能力はとても高く、動体視力は人の10倍ほどあるとも言われています。
すばしっこいネズミや昆虫などの動きに対応できるため発達したのですね。
視野についても約280度あり、後ろにいる獲物を見つけることも可能です。
また、猫は暗闇においても、目をギラギラと光らせ、明るい場所と変わらずに行動することができます。
それは、網膜にある光の明暗を認識する桿体(かんたい)細胞が発達しているからで、薄暗い場所でも物を確認できる能力が優れているからです。
さらに、みなさまご存じの通り、猫の瞳孔は明るい所では細長く、暗い所では黒くまん丸になりますよね。
これによって暗い所では多くの光を取り入れることができるので、猫は暗闇においても普通に行動をすることができるのです。
注意すべき猫の目の色
このように、猫の目にはいろんな色がありますが、愛猫の目の色がいつもと違う場合には注意が必要です。
そのままにしておくことで、視力を失ってしまう可能性もあります。
以下が代表的な異常となる目の色ですが、「愛猫の目の色がなんか変だな…」と思う場合には、迷わず動物病院を受診するようにしましょう。
赤くなっている
目が赤いのは、目に分布する血管の色が見えていることによります。
原因として、炎症による充血や出血であることが多いです。
考えられる病気には、
- 結膜炎:結膜に炎症が起きる
- 角膜炎:角膜に炎症が起きる
- 乾性角結膜炎(KCS):ドライアイ、涙量が減少することで目の表面が乾いた状態
- パンヌス:多数の結膜血管が目の角膜上皮内に侵入した状態
- 角膜血腫:角膜に血管新生が起きた状態
- 上強膜炎:強膜に炎症が起きる
- 前部ぶどう膜炎:毛様体・脈絡膜・虹彩に炎症が起きる
- 前房出血:角膜と虹彩の間に出血が生じる
白くなっている
目が白いのは、本来透明な部分である角膜、前房、水晶体、硝子体の中間透光体が白く濁っていることによります。
代表的な病気には、
- 白内障:水晶体が白く濁るため、瞳の真ん中が白く見える
- 角膜ジストロフィー:角膜に濁りが生じる病気
- 角膜潰瘍:角膜に傷ができる
- 角膜浮腫:角膜のむくみ
- 核硬化症:加齢に伴う生理的な変化
- 角膜混濁症:角膜全体が炎症を起こし、全体的に白く見える
などがあります。
けんかによる外傷やウイルス感染症などでも白っぽくなることがあります。
また、瞬膜が出ているために、目が白くなったと勘違いされる方もいらっしゃいます。
猫の瞬膜は睡眠時や寝起きのもうろうとしているときなどによくみられます。
瞬膜は、目の表面を覆うワイパーのような役割をしており、常に出ているようでなければ正常の構造物です。
緑色になっている
目が緑色になるのは、瞳孔が開瞳して眼底からの反射がみられることによります。
タペタムの色調により緑色に見えないこともあります。
- 緑内障:眼圧が上がる病気、進行すると眼球が拡大
- 網膜剥離:網膜がはがれて、視力が低下する病気
- 遺伝性網膜変性症(進行性網膜萎縮症):網膜の異常による視覚障害
といった病気でよくみられます。
※ タペタム:反射板(脈絡壁板)のことで、網膜の裏にある組織です。
猫の目が暗闇で激しく光るのはこのタペタムが関係しています。
黄色くなっている
目が黄色く見えるときは、黄疸を呈している可能性があります。
黄疸は肝臓の機能が低下していたり、血液が過度に破壊されているときにみられます。
緊急性がある場合が多いので、すみやかに動物病院を受診しましょう。
黒くなっている
目が黒く見える疾患としては、角膜黒色壊死症があります。
角膜が黒色に変色し、その部分が壊死してしまう病気です。
また、ほくろのような茶色や黒色のシミが見られた場合には、悪性黒色腫(メラノーマ)の疑いもあります。
【まとめ】猫の目の色の種類や注意するべき目の色とは?
猫の目の色には遺伝によって様々な配色があります。
どの色も個性的でとても魅力的です。
ただし、感染や炎症、老化など様々な原因によって目の色は変化します。
愛猫の目の色はどんな色をしているのか?
普段からしっかりチェックをしましょう。
参考資料
- 余戸拓也,カラーアトラス よくみる眼科疾患,intrezoo,2014
- 今泉忠明,猫脳がわかる!,文春新書2019,p48-p57